前回は今なぜリムーバブル・ストレージが注目されているのかを説明する前座として、記録装置の役割の話をし、その中で記録装置の大きな用途の
1 つである、ソフトの配布としての役割が、フロッピー・ディスクから CD-ROM に移り変わった、と言うお話をしました。
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ソフトの機能拡大による容量の増大と、CD-ROM が安価な配布媒体として普及してきたことが、それまでのフロッピー・ディスクによるソフトの配布が
CD-ROM に移り変わった理由ということでしたね。その辺の事情をもう少し詳しくお話していただけませんか? |
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日本のパソコンの歴史は NEC が 1976 年に発売した "TK80"
マイクロコンピュータ・トレーニングキットに始まると言っていいでしょうが、パソコンが一般に使われる様になったのは、1980
年代の中頃になってからです。当時はベーシックと呼ばれる基本ソフトから、1982 年にマイクロソフト社から出された MS-DOS
と呼ばれる基本ソフトに主流が移りつつありました。
当初、MS-DOS のサイズも今から思えば小さなものであり、1.44MB フロッピー・ディスク数枚に収まる程度でした。ワープロなどの応用ソフトなどもフロッピー・ディスク数枚に入れて販売されておりました。
ところが、Windows 3.1 が出現するに及んで、事情は一変するのです。 |
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Windows 3.1 は MS-DOS とどんな所が違い、また利用者にどの様な影響を与えたのですか? |
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Windows はそれまでの MS-DOS と違い、パソコンがユーザーにとって操作が簡単で分かりやすくするために、デスクトップという概念とアイコンと呼ばれる小さな絵をクリックすることによる視覚的な操作などの新しい考え方を採用しました。これは
GUI(グラフィック・ユーザー・インターフェース Graphic User Interface)と呼ばれています。Windows
は 1985 年から出荷されていますが、当初のものは未だ未完成で、本格的に普及したのは 1992 年の Windows
3.1 になってからです。
実は、GUI を初めて搭載したのはこれより先、1983 年にアップル・コンピュータ社の発売した Lisa と翌 1984
年の Macintosh と呼ばれるパソコンでした。GUI についてはアップル・コンピュータの方が先進的でした。 |
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Windows 3.1 になってソフトのサイズも急に大きくなったと言うことなのでしょうね。 |
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実はその通りなのです。机の上に色々な書物や文献を並べたり、メモやノートをとる作業をそのままモニター画面に表現したのがデスクトップであり、デスクトップ上に並べられた仕事を表現している小さな絵、アイコンをマウスでクリックする、といった分かりやすい操作でパソコンが使え、非常に便利になりました。これが
GUI の基本的な考え方です。さらに複数のウインドウを起動することもできました。
しかし、グラフィカルな表現を多く取り入れ、さらに音声なども取り込んだため、その見返りとしてソフトも大変大きなものになってしまいました。
それまでは 1.44MB のフロッピー・ディスク数枚であったソフトが Windows 3.1 では一挙に 30 枚以上になってしまったのです。
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応用ソフトの方は如何だったのでしょうか? |
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お察しの通り、基本ソフトがグラフィカルになればその上で動く応用ソフトが従来どおりでは冴えません。応用ソフトも
Windows に合わせて図や絵を多用したグラフィカルなものになりました。プレゼンテーション・ソフトとして有名なマイクロソフト社のパワーポイントなどもグラフィカルな表現に音声も加えることができ、プレゼンテーションは非常に見栄えのあるものになりました。
また、ビデオメモリーの増強などとも相まって、画像も大画面でフルカラーのものが楽しめ、ゲームも従来の 2 次元から 3 次元に進化するようになりました。
Windows がさらに進化し、Windows 95 になってさらにこの傾向が強くなりました。いわゆるマルチメディア時代の幕開けです。
これに伴い、応用ソフトの容量も急増したのです。例えば、その頃広く使われていたワープロソフトの「一太郎」では MS-DOS
時代のフロッピー・ディスク数枚から Windows 3.1 になってからは十数枚、さらに 30 枚以上へと膨れ上がってしまったのです。使い勝手の向上のほかに図表や絵・写真の貼り付けなど、色々な機能が追加されたことも容量増大の要因になっています。
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基本ソフト、応用ソフトがフロッピー・ディスクで数十枚にもなるとソフトをパソコンに組み込む作業も大変になりますね。 |
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ソフトの組み込みに何時間もかかり、しかもパソコンに付きっきりでフロッピー・ディスクを一枚一枚組み込むのですから結構面倒な作業でした。
丁度その頃に CD-ROM の普及が始まったのはメーカーとユーザーにとって全く幸運な事だったのです。1986 年頃から出はじめた
CD-ROM は 1990 年代に入って価格も徐々に下がってきましたが、Windows 3.1 やこれに向けて作られた応用ソフトなどの大型化したソフトの配布・販売に最適であることから
CD-ROM が急速に普及したのです。ソフトを配布する媒体としては何枚も必要なフロッピー・ディスクよりはるかに安価に作れ、ユーザーもフロッピー媒体を入れ替える手間と時間が省けます。このために
CD-ROM は瞬く間にパソコンの標準搭載機器になったのです。実際に同じソフトでもフロッピー・ディスクを使ったものが CD-ROM
版より高価で、機能にも制限があるものが多かったため、フロッピー・ディスク版のソフトを買い揃えるくらいなら CD-ROM
の装置を買っても充分お釣りがくる状態になったからです。 |